バスケットボールの技術本はたくさんありますが、特にバスケIQや戦術を解説した本でお勧めの本を紹介します。
- バスケIQを高めてより高度なプレーをしたい
- 戦術を理解しバスケ観戦をより楽しみたい
- バスケと読書が好きな人
NBAバスケ超分析 佐々木クリス 著
元バスケットボール選手で、現在はバスケットボールアナリストや解説者という肩書きで活動している佐々木クリスさんによる、バスケの新常識解説本。
本書はNBAのデータに基づく解説がされていますが、Bリーグ中心でNBAをほとんど見ない私でも楽しめるものでした。
Bリーグにも本書で解説されている新常識は間もなくやって来るでしょう。
一部はすでに来ているものもありますね。
NBAについては説明不要であると思いますが、バスケットボール界ではここ10数年で大きな変化が起きています。
そんな事例をデータを交えながら面白く紹介してくれています。
以前では当たり前であったことが、当たり前ではなくなっています。
それだけ技術や戦術が進化しているということです。
わかりやすい例で言うと、やはりスリーポイントの重要性でしょう。
試投数や決定数はもちろん、どのポジションでもスリーポイントを打てないと現代では勝負になりません。
ただし、外郭からのシュートを多く打てばいいというわけでもなく、リング付近のシュートの重要性もあるというのが難しいところ。
また、個人的に面白いと思ったのが「オフェンシブリバウンド」について。
「リバウンドを制するものが試合を制す」という言葉があるように、その重要性は昔から語られていました。
オフェンシブリバウンドを取るには、インサイドプレーヤーが体を張ってポジション取りすることが必要という考えでした。
しかし、実はその前に行うドライブが重要でした。
ドライブしてディフェンスを抜き去ることにより、ゴール付近にヘルプディフェンスがきます。
そうすると、シュートが外れても見方のインサイドプレーヤーはポジションが取りやすくなっているので、リバウンドがとりやすくなっています。
今まで考えたことがありませんでした。
また、場合によってはオフェンシブリバウンドを放棄するのもひとつの戦略らしいです。
リバウンドを競り合って、相手にとられてしまうと速攻による失点のリスクがあるためです。
それであれば、オフェンシブリバウンドを放棄し、セーフティーに回った方がリスクが回避できるという考えですね。
他にも唸るような新常識が紹介されていて、プレーで試してみたくなったり、観戦時に注目してみたくなったりする内容が満載です。
NBA好きはもちろん、バスケプレーヤー、Bリーグファンにも楽しめる一冊です。
「次はどう動く?」バスケットボール脳を鍛えるプレー問題集 安齊竜三/小谷究 著
現宇都宮ブレックスヘッドコーチの安齊竜三氏が教える最新のプレー問題集です。
このシチュエーションではどう動けば良いかという問題が43問掲載されいます。
各設問でシチュエーションやプレーヤーの特徴が記載されており、それに対する正解例が詳しく記載されています。
図を使用しながら解説されているので、経験者であれば状況をイメージすることができます。
序盤は1on1でどう動くか?1on1をどう守るかなどの、ある意味定説とされているような基本的な考え方が紹介されており、初級者でもとっつきやすくなっています。
後半には現代バスケで必須となっている、ピック&ロールでどう攻めるか、どう守るかが記載されており、上級者でも非常に役に立ちます。
最新の戦術の考え方が記載されているので、まさに今読んで実施してみるのが良いです。
43問と問題数は少ないように思えますが、後半はしっかり解説を読んでイメージしないと理解できない問題ものもあるので、ボリューム的にはちょうどよかったです。
バスケットボール 勝つための最新セットプレー88 小谷究/東野智弥 著
バスケットボールにおける、セットプレーをたくさん紹介してくれている本。
NBA、ワールドカップ、Bリーグ、Wリーグ、EUROリーグ、NCAA、日本の大学・高校などで実際使用されたセットプレーなので、机上論だけでなく説得力があります。
モノによっては映像が残っているかもしれません。
実際の映像ではないですが、動きのイメージはQRコードから動画で参照できます。
本書は大きく3つで構成されていて、以下のシチュエーション別に分けられています。
- ベースラインアウトオブバウンズ(BOB)プレー
- サイドラインアウトオブバウンズ(SOB)プレー
- ハーフコートオフェンス(SET)プレー
BOB・SOBプレーは、ファールやアウトオブバウンズなどで時計が止まったあと、スローインでプレーが再開する時に使用するセットプレーです。
BOBはエンドラインからのスローイン、SOBはサイドラインからのスローインのことです。
SETプレーは、タイムアウト明けなどで再開した際に、ハーフコートで展開されるセットプレーのことです。
ワンプレーの中に、それぞれが詳細に意味を持った動きを行っていることが分かります。
また、実際のプレーではこのような動きであったが、この場合は別の選手にパスを出すオプションもある。
などなど、緻密な戦術が解説されています。
実際のトップリーグで行われているセットプレーだけに難易度は高く、数個の図と文字だけでは理解しきれないものも多いでしょう。
用意されている動画でイメージを膨らませる必要がありそうです。
実際のプレーや、観戦している中で紹介されたプレーが出てくるとよりバスケが楽しくなるでしょう。
データで強くなる‼バスケットボール最強の確率 小谷究/木村和希 著
日本バスケットボール学会理事で、数多くバスケットボールの研究論文を発表している小谷究氏と、千葉ジェッツでアナリストを務める木村和希氏による著書。
バスケットボールにおけるデータを扱う研究者による、どのようにデータを見て、どのように対策に繋げればよいかということが紹介されています。
データの種類としては、主に学生の試合でも使用する「オフィシャルスコア」とBリーグなどのトップカテゴリーで記録される「ベーシックスタッツ」いわゆる「ボックススコア」から読み取れることを解説しています。
オフィシャルスコアからは、誰がどのくらい得点したか、どのくらいファールしたかなどという主な結果が記載されています。
ファールが多いチームは、積極的なディフェンスを仕掛けてくる可能性がある、などの想定ができます。
ただし、細かい情報はないのでオフィシャルスコアから分析できることは限られていて、過度な期待は禁物です。
ベーシックスタッツはBリーグでも試合後に記録・公開されているデータです。
これらがどのような意味で、どのように扱えばよいかを解説しています。
分かりやすいところだと、PTS(得点)、FG%(フィールドゴール成功率)、TO(ターンオーバー数)などなど。
さらに、このベーシックスタッツを加工しさらなる分析に繋げます。
詳細な計算方法は割愛しますが、例として以下のような値が導き出されます。
- eFG%(Effective Field Goal Percentage):ショット成功率
- PPP(Point Per Possession):1回の攻撃権でどのくらい効率よく得点できるか
これらの数値を分析したり比較したりすると思いもよらない傾向が導き出されます。
アナリストとなる人は、もっともっと多くの数値を分析するのでしょうが、いちバスケファンとしても、Bリーグのスタッツを見て楽しむことができそうです。
バスケットボールの戦い方 ピック&ロールの視野と状況判断 佐々宜央 著
当時Bリーグ琉球ゴールデンキングスのヘッドコーチだった佐々宜央さんによるバスケの戦術解説本。
近年のバスケでは世界的に戦術の主流となる「ピック&ロール」を中心に、バスケ戦術について解説されています。
特徴的なのは、バスケのスキル本でよくあるような写真やイラストを使用した本ではなく、3Dグラフィックを用いている点です。
一見分かりづらいようにも思えますが、慣れると分かりやすくなってきます。
この3Dグラフィックのいい点は、全体を俯瞰してみる場合と、選手の目線が確認できる点です。
選手の目線も、ボールマンでパスを出す人と、パスを受ける人など複数の選手の目線が確認できイメージがしやすくなります。
基本的な合わせ方についての解説から、ピック&ロールをかける位置(サイド・エルボー・トップ)に分けて解説されています。
専門用語も多数出てきており、かなり深い戦術論となっていると感じます。
高校以上で専門的にバスケに関わる指導者や選手、中・上級者向けではないでしょうか。
ただ、こういった知識を知っていることで、バスケ観戦もより面白くなると思います。
バスケセンスが身につく88の発想 小谷究/網野友雄 著
バスケセンス=「状況を判断し、最適な方法を発想して実行できる力」
と定義し、バスケセンスが身に着けるにはどうすればよいか?について考える本です。
アメリカにはバスケができる環境が多くあり、遊びながらバスケセンスが身についていくようです。
日本は部活中心でチームプレイやルールを重んじる傾向があり、自由な発想が生まれにくという。
バスケにはセオリーがあるが、時にはそのセオリーを無視するくらいのことがバスケセンスを身に着けるには重要である。
その例が88個紹介されています。
NBAで活躍する選手は、技術・体格が優れているのは当たり前で、そこに「センス」が加わることにより超一流の選手となるんだと思わされます。
事例のほとんどはバスケの頂点であるNBAで活躍した選手の紹介ですが、一部にBリーグ選手の事例も紹介されており、NBAファン、Bリーグファンともに楽しめます。
こういった新しい発想を大事にしていかないと、新しい技術や戦術も生まれないんだろうな、と思わされます。
100問の“実戦ドリル”でバスケiQが高まる 小谷究/佐々木クリス 著
バスケの実戦で起きたことをクイズ形式で出題してく本です。
その数100問ボリューム満点です。
実際の試合で起きたシチュエーションが、図をメインに説明されており、この後「どうやって得点したか?」「どのように攻撃したか?」という形で出題されます。
問題に対して結果を回答し、ポイントが解説されています。
問題として紹介されている試合は、NBA、NCAA、オリンピックなどの国際試合、Bリーグも少しだけ。
一つひとつ状況をイメージしながら読んでいくので、読むのに時間がかかります。
なかなかイメージするのが難しく、実際の映像があればなぁ、と思ってしまします。
多くの問題はNBAでの試合の事例なので、NBAファンで映像が残っている方は是非映像とともに本書を読むと20倍くらいわかりやすくなると思います。
初級、中級、上級、超級とランク分けされております。
初級あたりはまだ正解を導き出せることもありますが、上級以上は難しい!
ボールマンがすべてではない 大野篤史/小谷究 著
現千葉ジェッツヘッドコーチの大野篤史氏が複雑なバスケの戦術について解説する本です。
バスケットボールにおける戦術をかなり詳しく解説しているので、バスケをある程度知っている経験者・上級者向けと思います。
オフェンス戦術では、アライメント、特徴のある選手を活かすプレー、シチュエーションに応じた戦術など。
ディフェンス戦術では、マンツーマン、ゾーンディフェンス、プレスやコンビネーションなど。
さらにオフェンス戦術vsデイフェンス戦術という、ゾーンディフェンスに対する攻め方や、チェンジングディフェンスなどが紹介されています。
かなり詳しく書かれているので、難しいですがバスケ好きには読んでいて面白いはずです。
プレーヤーとしてはプレーに活かせるでしょうし、バスケを観戦するときにも戦術を知っていると試合の面白さが断然変わってきます。
バスケ好きにはかなりお勧めです。
著者が千葉ジェッツHCということで、随所に千葉ジェッツやBリーグのチーム、選手での事例が紹介されており、Bリーグファンは親近感がわいて楽しめます。
逆にNBAの事例は出てこないので、NBAファンには物足りないかもしれません。
最後には、日本のバスケが上位をとるためにはという大野さんの思いが込められています。
フィジカルで劣る日本人はチームとして戦術を駆使して戦わなければいけないんでしょうね。
小谷究氏とは
紹介した本の多くに関わっているのが、小谷究さん。
バスケに関する本を読んでいくと、あらゆるところで出会います。
せっかくなのでご紹介します。
流通経済大学の准教授であり、バスケ部ヘッドコーチを務めています。
大学でバスケットボールの戦術研究者をしており、日本バスケットボール学会理事、日本バスケットボール殿堂事務局も務めています。
バスケに多大な貢献をされている方ということが分かります。
今回紹介した本以外にもたくさんの著書があり、バスケに関する論文も数多く執筆されています。
今回紹介できなかった本、まだ読んでいない本も読んで紹介したいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか、バスケ本 戦術・バスケIQ編。
バスケは奥が深いです。
戦術を知り、バスケIQを高めることで、プレーはもちろん、観戦も数倍楽しくなります。
興味を持たれた方は、Bリーグ観戦に足を運んでいただいたり、ネットで観戦したいただけるとバスケットボールの面白さがわかると思います。
他にもバスケ関連の書籍を紹介しています。
有名バスケ選手の自伝本の紹介。
バスケスキルのお勧め本
バスケのクラブチームの経営について、Bリーグの発足からリーグの経営についての本の紹介。
スラムダンクを題材とした本の紹介
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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